■耐糖能異常
2型糖尿病の診断には至らないものの、正常とも言えない軽度の高血糖状態のことで、境界型糖尿病、糖尿病の手前、糖尿病予備軍などとも言います。将来糖尿病に移行する確率が高いため、予防が重要です。2型糖尿病と同様に食事・
運動療法により糖尿病を発症させないこと、また定期的な血液検査が必要です。場合によって年に1回の健診や病院・診療所での数ヶ月おきの検査をお勧めします。
■妊娠糖尿病
妊娠中は血糖値を上げるホルモンが産生され、さらに妊娠中期以降にはインスリンが効きにくくなることなどから血糖値が上昇しやすくなっています。そのため妊娠に伴って発症する妊娠糖尿病となることがあります。経口75gブドウ糖負荷試験(甘いジュースを飲んで頂きその前後に採血を行う検査で50gの検査と75gの検査とあります)で、空腹時血糖値≧92 mg/dL、1時間後血糖値≧180 mg/dL、2時間後血糖値≧153 mg/dLのいずれか1点を満たすと診断されます。現在、妊娠女性の10%前後に発症すると考えられています。コントロールされていない妊娠糖尿病は早産や死産なども含め、妊娠や出産前後の合併症につながる場合があります。将来のお子さんが糖尿病を発症しやすくなるとも言われています。これらを少しでも防ぐためには通院し、しっかりとした血糖管理が必要となります。まずは食事管理をしながら自己血糖測定(自宅でご自身で血糖を測って頂きます)を行い、目標の血糖値に達していない場合には薬物治療を行います。妊娠中における内服の糖尿病治療薬は安全性が確保されていませんので、
インスリン注射による治療を行います。出産に伴い血糖値は改善することがほとんどですが、出産3ヶ月後頃を目処に糖尿病の再評価を行います。また妊娠糖尿病となった方は将来糖尿病を発症しやすいので、毎年の健診など定期的な血液検査や尿検査を受けられることをお勧めします。
■ステロイド糖尿病
リウマチ等の膠原病・自己免疫性疾患、気管支ぜんそく、抗がん剤治療など、さまざまな病気の治療でステロイドと呼ばれる薬が使われることがよくあります。ステロイドはもともと体内に分泌されているホルモンですが、血糖値を上げる作用があります。治療で使われるステロイドは体内で分泌されているよりも多い量が投与されますので、糖尿病が発症することや、もともとの糖尿病が悪化することにつながります。他疾患の治療と糖尿病の発症・悪化を天秤にかけることになりますが、他疾患の治療を優先させてステロイドを継続することが圧倒的に多いです。ステロイドの投与時間、投与量、糖尿病の病状によって
飲み薬や
インスリン注射の調整が必要になることがあります。何かの病気の治療でステロイドを使用する場合には事前に糖尿病の有無を確認する事や糖尿病を診てもらっている主治医にすぐに相談しましょう。