■甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが体内に不足している状態のことを言います。徐脈(脈が遅い)、耐寒能低下(さむがり)、食欲低下、体重増加、便秘、うつ状態、記憶力低下、不妊、脱毛などの症状が出ます。原因の9割以上が橋本病(慢性甲状腺炎)です。他には
バセドウ病や
甲状腺腫瘍に対して甲状腺摘出術や放射線治療を行ったのちに甲状腺機能低下症に至ることがあります。いずれも飲み薬による甲状腺ホルモンの補充で甲状腺ホルモン値は改善し、症状も改善・消失します。
■甲状腺腫瘍
甲状腺腫瘍には他の臓器と同様に良性腫瘍と悪性腫瘍があります。悪性腫瘍には乳頭癌(にゅうとうがん)、濾胞癌(ろほうがん)、未分化癌(みぶんかがん)、髄様癌(ずいようがん)、悪性リンパ腫などがありますが、多くは乳頭癌です。乳頭癌は進行が遅く命に関わることの少ない比較的予後の良い癌です。甲状腺腫瘍を指摘されたら、まずは甲状腺超音波検査(エコー)で腫瘍のサイズ・性状などを評価し、良性か悪性か、悪性ならどの種類の癌かなどの診断は甲状腺腫瘍に注射針を刺して腫瘍の細胞を採取すること(穿刺細胞診)で行います。