■生活習慣病とは
厚生労働省によると生活習慣病は「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する症候群」と定義されています。具体的には
2型糖尿病、
高血圧症、
脂質異常症、
高尿酸血症などが挙げられます。生活習慣病は、健康長寿の最大の阻害要因となっており、また医療費にも非常に大きな負担を与えています。定義と逆のことを言えば、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣の改善が上記疾患の改善・予防につながる病気とも言えます。
■高血圧症
高血圧症では症状は何もないことがほとんどですが、長期間高血圧の状態が続くと動脈硬化が進み、狭心症・心筋梗塞や脳出血・脳梗塞、腎不全などにつながります。人によっては別の病気(原発性アルドステロン症など)が原因で高血圧症となっている場合(二次性高血圧症)があり、精密検査を行う場合があります。ただ多くの場合は他に原因のない本態性高血圧症です。塩分制限を含めた食事療法、
運動療法、薬物療法により血圧を是正することで、将来の合併症を防ぎます。
健康診断やクリニック・病院での血圧測定は、緊張下や非安静下での測定となり、血圧の値が高めに出ること(白衣高血圧)が多々あります。そのため、高血圧症の方や高血圧症を疑われた方には自宅での血圧測定・記帳が推奨されます。起床直後や食後は血圧が高くなりますので、起床後少し活動した後、朝食前に2-3分座った状態で安静にしてからの2回ほどの血圧測定をお勧めします。平均血圧や2回目の血圧を記帳頂き、受診時に参考にさせて頂きます。日々の血圧の記録のための血圧手帳はクリニックでお渡し致します。
■脂質異常症
脂質異常症とは、血液中の悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が過剰な状態または善玉(HDL)コレステロールが少ない状態をいいます。高脂血症、高コレステロール血症・高中性脂肪血症なども含まれます。糖尿病や高血圧症と同様に動脈硬化につながり、お互いに合併し合うと余計に動脈硬化が進みやすくなります。生命に関わる心筋梗塞やその前段階の狭心症、また脳出血や脳梗塞を発症しやすくなります。食事・
運動・薬物療法により数値の改善を目指します。なかでも最も動脈硬化と関連の深い悪玉(LDL)コレステロールは年齢・性別・喫煙習慣などいくつかの要因によって、目標値が変わってきます。
食事療法では鶏卵や魚卵(いくら)などの卵類、肉の脂身、油を使った料理、ドレッシング、バター、マーガリン、マヨネーズなどコレステロール含有の多い物の摂取や飲酒量を控えて頂くことが重要です。運動療法には中性脂肪を下げ、善玉コレステロールを上げる効果が期待されます。運動療法はたまに行う過度の運動ではなく、無理のない軽度の運動を短時間でも毎日継続することが有効です。体質的に食事・運動療法でもなかなか数値が改善しない方がいらっしゃいますので、その場合には薬物療法の検討が必要となります。いずれにしても、しっかりと上記治療の効果を数値(採血による血液検査)で評価しながら治療の強化・軽減を考える必要があります。
■高尿酸血症・痛風
高尿酸血症は痛風関節炎や腎障害などの原因であり、血清尿酸値の上昇とともに生活習慣病のリスクが高くなります。アルコール摂取量が多いほど痛風発症リスクは高まり、肉類・砂糖入りソフトドリンク・果糖の摂取量が多いことや肥満であることも痛風関節炎を起こしやすくします。痛風発作時には必ずしも尿酸値は高値ではありません。また尿酸値を変動させると発作が増悪することが多いため、痛風発作中には痛みを取る治療に専念し尿酸降下薬は開始しません。